本の校正
このページでは,本の校正に関する知識を整理しています.
目次
用紙サイズ
紙加工仕上寸法(JIS P 0138: 1998)には仕上寸法主要シリーズ(ISO-Aシリーズ)と仕上寸法補助シリーズ(JIS-Bシリーズ)があります.
次表の通りです(単位はmm).
番号 | A列 | B列 |
---|---|---|
0 | 841×1,189 | 1,030×1,456 |
1 | 594×841 | 728×1,030 |
2 | 420×594 | 515×728 |
3 | 297×420 | 364×515 |
4 | 210×297 | 257×364 |
5 | 148×210 | 182×257 |
6 | 105×148 | 128×182 |
7 | 74×105 | 91×128 |
8 | 52×74 | 64×91 |
9 | 37×52 | 45×64 |
10 | 26×37 | 32×45 |
規格外では次の型があります.
名称 | 寸法 |
---|---|
127/130×188 | |
菊判 | 152×218/221 |
レターサイズ | 216×280 |
とじ方
書籍のとじ方とページ数によっては,校正時にノドやツメの余裕に注意する必要があります.
- 糸とじ:糸かがりにする.
- 無線とじ:背をカットして接着剤で固める.
網代 とじ:背の折り目に切り込みを入れ,接着剤で固める.- 針金とじ
- 中とじ:背から中央のページに向かって綴じる.
平 とじ:背を最初のページから最後のページに向かって綴じる.
余談ですが,パンチ穴や糊付けのある葉書等,形あるものを校正する場合は,パンチ穴の目安位置の背面に誤って文字が配置されていないか,糊付け位置が正しいか,折り畳んだ時に正しい向きに文字が配置されるかなどを確認しなければなりません.
書籍においてノド周りや左右ページが反転していないかをチェックするのは,書籍が開いて使われるという特性を持った紙媒体であるからです.
一般に,形状の特性を考え,コンテンツが破壊されないかをチェックする必要があると言えます.
電子書籍
電子書籍には拡張子epub
やmobi
等のファイルがあります.
ファイルは書誌情報やDRM制限に関するメタデータを持ちます.
端末やアプリケーション,縦書き・横書きの切り替え等の設定変更により表示に差が生じる可能性があります.
また,テキスト・画像の表示形式には「固定レイアウト型」と「リフロー型」があります.
固定レイアウト型
固定レイアウト型は紙媒体の書籍をそのままの見た目で電子書籍にしたものなので,校正は紙媒体と基本的には同様です.
読者の利便性のため,ページのジャンプにはリンクを設定することが望まれます.
リフロー型
リフロー型はテキスト等のデータが画面サイズ等に応じて適宜変形されます.
したがって,レスポンシブデザインのWebサイトと同様に,見やすいレイアウトで表示されているかのチェックが必要です.
また,紙媒体の書籍をベース版とする場合には,「58ページを参照」や「右図は」といった表現はリンク等に改めます.
オーディオブック
読み上げの校正では,画像・テキスト無しで内容が正しく伝わるかの確認を行います.
「表4において」や「赤色で示された数字」といった表現は,キャプションや画像の印象・内容を簡潔に伝える文言に改めます.
朗読やドラマCDでは,場面を適切に伝えるように,セリフ等に補足が必要となる場合があります.
ルビに限りませんが,後から入れるより取り除く方が簡単なので,読み物の制作・校正工程で予めルビを正しておくことが望まれます.
参考文献
次の書籍は,企画から流通まで紙媒体の本について簡潔にまとめています.
- 日本エディタースクール (2009)「本の知識」